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ジムの休会は契約を止めていない

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2026/9/11公開

しばらく通えなくなったと伝えると、休会を案内されることがあります。会費が下がる、あるいは止まる代わりに、席は残しておくという形です。

やめるより穏やかに見えます。ただ、条文の側から見ると、休会という制度は用意されていません

「休会」という語は、条文のどこにも出てこない

特定継続的役務提供(1か月を超えて続き、5万円を超える契約だけが対象になる決まり)の章を通して読んでも、休会に当たる言葉はありません。消費者契約法にもありません。

あるのは契約書面の記載事項です。特定商取引法42条2項の柱書がこうです。

役務提供事業者は、特定継続的役務提供契約を締結したときは、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、次の事項について当該特定継続的役務提供契約の内容を明らかにする書面を当該特定継続的役務の提供を受ける者に交付しなければならない。

その4号がこれです。

役務の提供期間

条文が書かせているのは期間であって、期間を止める仕組みではありません。休会は事業者が自分の規約で作ったもので、中身も名前も事業者ごとに違います。

期間が伸びるかどうかは、書面にしか書いていない

だから確かめる場所は1つに絞れます。休会したあいだ、契約書面に書かれた提供期間が伸びるのか、それとも進み続けるのか。

伸びるなら、通える回数は減りません。進み続けるなら、休んだぶんだけ受けられる役務が消えます。同じ「休会」という名前で、この2つが分かれます。

書面の期間の欄と、規約の休会の条項を並べて読むことになります。片方だけでは決まりません。

49条の上限は、解除したときにしか効かない

途中でやめるときの請求には上限があります。特定商取引法49条2項です。

役務提供事業者は、前項の規定により特定継続的役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務の提供を受ける者に対して請求することができない。

読むところは冒頭です。「前項の規定により特定継続的役務提供契約が解除されたとき」と書かれています。解除がなければ、この上限は働きません。

休会は解除ではないので、休会している間はここが効きません。上限の計算のしかたはパーソナルジムの中途解約と請求できる額の上限にまとめました。

休会する

  • 契約は続いている
  • 49条2項の上限は働かない
  • 期間が伸びるかは書面と規約で決まる

中途解約する

  • 契約が終わる
  • 49条2項の上限が働く
  • 提供済みの対価と政令の額までしか請求されない

契約が続いているか終わっているかで、上限の規定が働くかどうかが分かれる

休会と中途解約で、効く条文が変わる(特定商取引法49条)

やめるつもりで休会を選ぶと、上限のある道から降りることになります。休むあいだも席を残したいのか、それとも終わらせたいのかを、先に決めることになります。

店が退会と呼んでいる手続きが、条文でいう中途解約にあたります。休会と退会のどちらを選ぶかは、席を残すかどうかの違いに見えますが、効く条文が変わるという違いのほうが大きいです。休会を選んでいる間は49条2項の上限が働かず、会費の請求は書面の定めのままになります。

休会中の会費に効きうる条文はある

休会中も一定の額を払う決まりを置いている事業者があります。ここは特定商取引法ではなく、消費者契約法10条を見ます。

消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

「義務を加重する」条項で、なおかつ「一方的に害する」ものが対象です。額が大きいというだけでは当たりません。役務を受けていない期間の負担と、事業者が実際に負っている費用との釣り合いで見ることになります。

休会に金額の条件が付いていて、それが解約を思いとどまらせる働きをしている場合は、消費者契約法9条1項1号のほうも見ます。

当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの当該超える部分

こちらは解除に伴う額を対象にしています。休会そのものの費用は解除に伴うものではないので、直接は当たりません。線の引き方はパーソナルジムの解約金に効く条文があるで扱いました。

休会の規定を置いていない店もある

規約を探しても休会の条項が見つからないことがあります。それが不利とは限りません。

このサイトが載せている ACCEPT(銀座)は、回数券に利用期限を設けていません。休むための制度を置く代わりに、期限そのものを外している形です。トップページの説明はこうです。

「今月は忙しいから月1回、来月は週2回」など、柔軟にスケジュール調整OK!

期限が無ければ、上で見た問い自体が立ちません。休んだあいだに提供期間が進むかどうかを心配するのは、期間が決まっている契約だからです。回数だけを買っていて期限が無いなら、通わない月があっても回数は減りません。

そのぶん、別のことを見ることになります。回数券を買った時点で金は先に渡っているので、そこから先は事業者が続いているかどうかの話になります。期限が無いことは、渡した金を長く預けたままにすることでもあります。その筋はパーソナルジムが倒産したら回数券はどうなるかパーソナルジムに前払いする前に見られる書類にまとめました。

だから規約に休会が無いときは、無いこと自体を欠点と読まず、期限があるかどうかを先に見ます。期限があって休会が無いなら、休んだぶんは戻りません。期限が無いなら、休会という制度はもともと要りません。

同じジムの中でも、プランで休会の要否が変わる

このサイトが載せているスターライトフィットネスは、月1会員の「縛りなしプラン」(月額12,000円)と、期間を定めた年間プラン(月額8,800円〜18,700円・12か月)を両方置いています。

縛りなしプランは、ACCEPTの回数券と同じく期間の定めがありません。休んだ月があっても、次の月からまた通えばよいだけで、休会という制度自体が要りません。

年間プランは違います。12か月・金額とも上で見た1か月・5万円の線を超えるので、特定継続的役務にあたりうる契約です。ところが特定商取引に関する表記のキャンセル条項は「セミナー受講」と「物品」についてのものしかありません。月会員契約について、中途解約と休会のどちらの条項も見当たりませんでした。

同じジムでも、選ぶプランで休会を気にする必要そのものが変わります。期間を定めたプランを選ぶなら、休会の条項があるかどうかを契約前に窓口で確かめます。

8日以内なら、休会ではなく別の道がある

契約書面を受け取った日から8日以内なら、42条2項6号が名指ししている49条とは別に、48条の解除が使えます。

第四十九条第一項の規定による特定継続的役務提供契約の解除に関する事項(同条第二項、第五項及び第六項の規定に関する事項を含む。)

書面には49条のことも48条のことも書かれているはずです。8日の内側にいるときに休会を選ぶと、その期間は休会中も進みます。起算の数え方はパーソナルジムのクーリングオフ条件にあります。

申し出る前に見る場所

  1. 契約書面の「役務の提供期間」の欄
  2. 規約の休会の条項。期間が伸びるのか進むのか
  3. 休会中に払う額と、その名目
  4. 休会から復帰するときに何かかかるか
  5. 書面を受け取った日から8日を過ぎているか

3番目は名前で判断できません。「休会費」「席料」「システム利用料」のように呼び名が分かれるので、何に対する対価なのかを聞いて記録に残します。

事業者がやめさせないために事実と違うことを告げることは、特定商取引法44条が禁じています。そこはパーソナルジムの勧誘で話が違ったときにまとめました。

契約でもめたときの相談先は、消費者ホットライン 188 です。最寄りの消費生活センターにつながります。

まとめ

  • 休会という語は特定商取引法にも消費者契約法にも無い。事業者の規約の制度
  • 42条2項4号が書かせているのは「役務の提供期間」で、止める仕組みではない
  • 49条2項の上限は「解除されたとき」に働くので、休会中は効かない
  • 休会中の負担は消費者契約法10条の対象になりうる。額の大きさだけでは決まらない
  • 8日の内側にいるなら、休会ではなく48条の解除を先に見る

この記事で確かめたこと

原文から引用した文
7
出典
3(法令 2)
公開

引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。

紹介した事務所の資格と料金

事務所運営会社契約の形解約の権利が付く線
ACCEPTパーソナルジムACCEPT合同会社サイトの表示からは判断できず
171,600円(税込) / 別途: この金額は60分コース12回のものです。同じページに60分の5回76,780円・8回123,200円・16回220,000円・24回316,800円と、30分コースの5回38,390円・8回61,600円・12回85,800円・16回110,000円・24回158,400円が並んでいます。入会金は33,000円(税込)、都度払いは30分7,700円・60分15,400円です。分割払いは最大3分割までと書かれています
スターライトフィットネスMigi Agari株式会社サイトの表示からは判断できず
12,000円(税込) / 別途: この金額は月1会員の縛りなしプランのものです。年間プランなら月額8,800円になります。月2会員は16,000円/12,100円、ダイエットコースとアスリートコースは20,700円/18,700円、チケット会員は19,800円です。BFR(加圧)トレーニングとEMSは1回5,500円のオプションです
ACCEPT
東京・銀座のパーソナルジム。回数券の総額が30分コース・60分コースとも5回から24回まで税込テキストで並び、入会金・都度払い・分割払いの条件も同じページにあります(2026-09-12 確認)。栄養指導は回数券に含まれます。会社概要は「パーソナルジムACCEPT合同会社」「〒104-0061 東京都中央区銀座2-12-4 アジリア銀座 J’s402」「代表取締役 小澤海那月」「設立 2020年2月13日」「資本金 1000万円」。**クーリング・オフ・中途解約・返金についての記載はサイト内に見つからず、特定商取引法に基づく表記のページもありません**(2026-09-12 再確認)。回数券を「無期限で使える回数券制」としているため、41条1項1号の「政令で定める期間を超える期間にわたり提供することを約し」に当たるかが条文から読み切れず、tokutei は fumei にしています。2026-09-12 時点のトップページには「期間:2026年9月1日~9月30日」「先着3名様限定(定員になり次第終了)」と明記したキャンペーンがあり、入会金無料と全コース10%OFFが出ています。**期間と数量が書かれているので記事には定価だけを載せ、キャンペーンの金額は書いていません**
スターライトフィットネス
月額12,000円は月1会員の縛りなしプランの金額です。特定商取引に関する表記に「Migi Agari株式会社」「運営統括責任者 高木 拳斗」「北海道札幌市東区北37条東8丁目2-17 北栄メディカルビル2F」「011-299-3556」があり、料金ページに「*表示価格はすべて税込みとなります」と明記されています(2026-09-11 確認)。**ただし特定商取引に関する表記のキャンセル条項は「セミナー受講」と「物品」について書かれていて、月会員契約の中途解約について書かれていません。**年間プランは月額8,800〜18,700円の12か月なので期間も金額も線を超えますが、その場合の解約条件を公式サイトで確認できなかったため tokutei は fumei にしています

料金は各社の公式サイトで、税込価格が文章で明示されているものだけを掲載しています。 「解約の権利が付く線」は、特定商取引法41条1項1号が施行令24条に委ねている 期間と金額のことです。体型を整える施術では1か月を超え、かつ5万円を超える契約だけが 特定継続的役務になり、クーリング・オフと中途解約の対象になります。 公式サイトの表示で判断できなかったものは「判断できず」と出しています。 見つからないことは、線を超えないことを意味しません。

出典