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パーソナルジムの中途解約と請求額

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2026/9/10公開

8日のクーリング・オフの期間を過ぎたあとでも、特定継続的役務にあたる契約なら、途中でやめること自体はできます。そのとき事業者から請求される金額には上限があって、その上限は条文で決まっています。

このページは、その上限がどう決まるかだけを扱います。契約書に書かれた違約金の額が、上限を超えていないかを自分で確かめられるようにするためです。

途中でやめる権利

特定商取引法49条1項は、契約書面を受け取った日から8日を過ぎたあとについて、こう定めています。

将来に向かつてその特定継続的役務提供契約の解除を行うことができる。

「将来に向かつて」なので、すでに受けたぶんは戻りません。これから先のぶんをやめるになります。特定継続的役務にあたる契約であれば、この権利があります。

上限は契約書より強い

同じ49条の2項に、請求できる金額の上限があります。

役務提供事業者は、前項の規定により特定継続的役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務の提供を受ける者に対して請求することができない。

読むべきは「損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても」の部分です。契約書に違約金がいくらと書いてあっても、この上限を超える請求はできません。

上限の中身

49条2項1号ロが金額を政令に委ねていて、受けた側は施行令30条で別表第四の第三欄に送られます。体型を整えたり体重を減らしたりする施術の場合、通っている途中でやめたときの上限はこうなります。

二万円又は当該特定継続的役務提供契約に係る特定継続的役務の対価の総額から提供された特定継続的役務の対価に相当する額を控除した額(以下この表において「契約残額」という。)の百分の十に相当する額のいずれか低い額

長いので分けます。

  1. 契約残額(まだ受けていないぶんの代金)は、支払う総額から、すでに受けたぶんの対価を引いた金額
  2. その契約残額の10%を出す
  3. 2万円と比べて、低いほうが上限

これに、すでに受けたぶんの対価が加わります。まだ1回も通っていない場合は別の欄が使われて、その上限は2万円です。

数字を入れてみる

月額33,000円で12か月の契約を、3か月通ったところでやめる場合を考えます。

項目金額
対価の総額396,000円
すでに受けたぶん(3か月)99,000円
契約残額297,000円
契約残額の10%29,700円
2万円と比べて低いほう20,000円

このとき請求できるのは、すでに受けたぶんの99,000円に20,000円を足した金額までになります。契約残額が20万円を超えていれば10%は2万円を超えるので、上限はたいてい2万円のほうになります。

なお入会金の扱いは契約ごとに違います。契約書面と概要書面(契約する前に渡される、料金と解約の条件を書いた書面)に何と書かれているかを見てください。

契約書の違約金が上限を超えていたら

契約書に「途中解約の場合は残りの月会費を全額お支払いいただきます」と書かれていることがあります。特定継続的役務にあたる契約であれば、この定めがあっても、条文の上限を超える請求はできません。

そういう記載を見つけたときにできることは2つです。1つは、その条項が上限を超えていないかを自分で計算して確かめること。もう1つは、契約書面を持って消費生活センターに見てもらうことです。どちらも契約する前にできます。体験の日に契約書面を受け取ったら、その日のうちに解約の欄を読んでおくと、あとで慌てずに済みます。

数えるのは月数ではなく対価

計算のもとになるのは、通った月数ではなく、すでに提供された役務の対価です。月会費として払っている形なら月数で割った金額になりますが、回数券のように回数で決まっている契約では、使った回数で計算します。

自分の契約がどちらの形になりいるかは、契約書面の「役務の対価その他の支払わなければならない金銭の額」と「役務の提供期間」の欄で分かります。ここが分からないときは、事業者に計算の内訳を出してもらってください。

上限があることと、0円になることは違う

「途中でやめれば何も払わなくていい」ではありません。すでに受けたぶんの対価は払います。そのうえで、それに上乗せできる金額に上限があります。

通う前にやめる場合

一度も通わないうちにやめる場合は、別の欄が使われます。別表第四の同じ項目には、契約の締結と履行のために通常必要になる費用の額として 2万円が書かれています。

つまり、まだ役務が始まっていなければ、上限は2万円です。ここでもすでに払ったお金がある場合は、その差額が戻る計算になります。

一緒に買った商品はどうなるか

その役務を受けるために買う必要があるとされた商品は、条文で「関連商品」と呼ばれます。関連商品の売買契約も、本体の契約と一緒に解除できる仕組みがあります。ただし何が関連商品かは政令が名指ししていて、ジムやサロンの枠に入るのは摂取するもの・化粧品・下着・器具のほうです。トレーニングウェアはそこに出てきません。品目ごとの分かれ方は関連商品のクーリングオフはジムでも効くに分けて書きました。

ただし使ってしまった商品や、開けてしまった商品には例外の定めがあります。手をつける前に、返せるものかどうかを契約書面で確かめてください。

やめさせないための説明は、禁止されている

特定商取引法44条1項は、事業者の行為をこう制限しています。

役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し、又は特定継続的役務提供等契約の解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。

勧誘のときだけでなく、「解除を妨げるため」の説明も対象になっています。やめたいと伝えたときに事実と違う説明をされた場合は、その場で決めずに持ち帰ってかまいません。

勧誘のときに事実と違うことを告げられていた場合は、8日を過ぎても取り消せることがあります。範囲と期間はパーソナルジムの勧誘で話が違ったときにまとめました。

解除したあとに返金そのものを渋られた場合は、46条1項1号が「解除によつて生ずる債務」の履行拒否と不当な遅延を指示の対象にしています。指示や業務停止が出れば公表されるので、事業者を調べるときの材料になります。読み方はパーソナルジムの行政処分は公表されるにまとめました。

1か月と5万円の線を超えていない契約は、この上限の外にあります。そこは消費者契約法9条1項1号の平均的な損害で測ることになり、パーソナルジムの解約金に効く条文があるにまとめました。

クレジットで払っている場合は、返金を待つのとは別に、これから請求される分を止める道があります。そこはパーソナルジムの分割払いは道が増えるにまとめました。

「返金しません」と書いてあっても、条文が上にある

事業者の側が独自の返金保証を持っていることがあります。そこに書かれている期限と、条文が定める権利は別のものです。

このサイトが載せている MIYAZAKI GYM は、特定商取引法に基づく表記に「独自の返金保証」を置いています。契約後7日以内なら理由を問わず入会金を含めて返金し、8日目以降は行わない、という内容です。期限と条件が書かれている独自の制度です。

そのうえで同じページに「法定のクーリング・オフ」を別の項目として立てています。特定継続的役務提供(1か月を超えて続き、5万円を超える契約だけが対象になる決まり)等に該当する場合は書面等の受領日を含む8日間の撤回・解除ができるとしたうえで、法令が当社規定に優先すると書いています。

この書き分けが無いと、「8日目以降の返金は行っておりません」だけを読んだ読者は、この記事で見てきた権利まで無いと受け取ります。独自の保証が終わることと、期間が1か月を超え金額が5万円を超える契約に付く49条の権利が無くなることは、別のことです。そちらは8日を過ぎてからのもので、上限額を超える請求ができないだけです。

同社の16回コースは176,000円(税込)で、期間も金額も線を超えます。上で見た計算がそのまま当たる契約です。

回数券の売り方によっては、この計算の手前で止まる

ここまでの計算は、その契約が特定継続的役務にあたることを前提にしています。売り方によっては、そこが確かめられないことがあります。

このサイトが載せている ACCEPT(銀座)は、回数券を「無期限で使える回数券制」としています。41条1項1号が対象にしているのは、政令で定める期間を超えて役務を提供する契約です。使用期限を定めない回数券がこの期間の要件に当たるかどうかは、条文からだけでは読み切れません。

サイト内にはクーリング・オフや中途解約についての記載も見当たりません。期間が確かめられないと、この記事で見てきた上限の計算そのものが始められません。契約書面に使用期限や解除の条項が書かれているかを、申し込む前に確かめることになります。

事業者がいなくなった場合

解約の相手がいなくなると、49条の精算そのものが動きません。回数券を先に買っているときに何が残るかはパーソナルジムが倒産したら回数券はどうなるかで条文から見ています。

休会を勧められたとき

やめたいと伝えると、解約ではなく休会を案内されることがあります。49条2項の上限は「解除されたとき」に働くので、休会したままでは効きません。分かれ目はジムの休会は契約を止めていないにまとめました。

記録を残す

解除は書面か電磁的記録で行うことになっています。電話で伝えただけだと、いつ伝えたかが残りません。日付が分かる形で送って、控えを取っておくと後の話が早くなります。

計算が合わないと思ったときは、消費者ホットライン188に契約書面を持って相談できます。

同じ契約書が多数に使われているなら、止めさせる仕組みがある(58条の22第2項)

自分の精算とは別に、その契約書を使わせないようにする規定があります。

適格消費者団体は、役務提供事業者、販売業者又は関連商品の販売を行う者が、特定継続的役務提供等契約又は関連商品販売契約を締結するに際し、不特定かつ多数の者との間で次に掲げる特約を含む特定継続的役務提供等契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、それぞれその役務提供事業者、販売業者又は関連商品の販売を行う者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。

挙がっているのは48条8項の特約と49条7項の特約です。どちらも、この記事で見てきた権利や上限を契約書で狭める形の定めを指します。「返金しません」と書いた条項も、条文より不利な内容ならここに当たります。

請求できるのは適格消費者団体で、契約した本人ではありません。読者にできるのは、そういう契約書があることを消費生活センターに伝えるところまでです。

線そのものの引き方はパーソナルジムのクーリングオフ条件、総額の出し方はパーソナルジムの料金と相場の見方にあります。

この記事で確かめたこと

原文から引用した文
5
出典
2(法令 2)
公開

引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。

紹介した事務所の資格と料金

事務所運営会社契約の形解約の権利が付く線
MIYAZAKI GYM株式会社リーブル2か月超・5万円超(表示で確認)
176,000円(税込) / 別途: 入会金22,000円(税込。当日入会で無料)が別にかかります。この金額は16回コースのもので、48回369,600円・24回211,200円・8回96,800円・都度払い1回13,200円も同じページに並んでいます。ペアレッスンは1回あたり2,200円増、分割払いは提携信販の審査と条件によります
ACCEPTパーソナルジムACCEPT合同会社サイトの表示からは判断できず
171,600円(税込) / 別途: この金額は60分コース12回のものです。同じページに60分の5回76,780円・8回123,200円・16回220,000円・24回316,800円と、30分コースの5回38,390円・8回61,600円・12回85,800円・16回110,000円・24回158,400円が並んでいます。入会金は33,000円(税込)、都度払いは30分7,700円・60分15,400円です。分割払いは最大3分割までと書かれています
MIYAZAKI GYM
特定商取引法に基づく表記に「株式会社リーブル」「東京都渋谷区渋谷1-1-10ニューハイツ青山1003」があり、全コースの価格が消費税込で並んでいます(2026-09-11 確認)。同じページが「独自の返金保証」として契約後7日以内は理由を問わず入会金を含め全額返金とし、8日目以降は行わないとしたうえで、「法定のクーリング・オフ」を別項目に立てて「契約形態が特定商取引法の『特定継続的役務提供』等に該当する場合、書面等受領日を含む8日間は申込みの撤回・解除が可能です(法令が当社規定に優先)」と書いています
ACCEPT
東京・銀座のパーソナルジム。回数券の総額が30分コース・60分コースとも5回から24回まで税込テキストで並び、入会金・都度払い・分割払いの条件も同じページにあります(2026-09-12 確認)。栄養指導は回数券に含まれます。会社概要は「パーソナルジムACCEPT合同会社」「〒104-0061 東京都中央区銀座2-12-4 アジリア銀座 J’s402」「代表取締役 小澤海那月」「設立 2020年2月13日」「資本金 1000万円」。**クーリング・オフ・中途解約・返金についての記載はサイト内に見つからず、特定商取引法に基づく表記のページもありません**(2026-09-12 再確認)。回数券を「無期限で使える回数券制」としているため、41条1項1号の「政令で定める期間を超える期間にわたり提供することを約し」に当たるかが条文から読み切れず、tokutei は fumei にしています。2026-09-12 時点のトップページには「期間:2026年9月1日~9月30日」「先着3名様限定(定員になり次第終了)」と明記したキャンペーンがあり、入会金無料と全コース10%OFFが出ています。**期間と数量が書かれているので記事には定価だけを載せ、キャンペーンの金額は書いていません**

料金は各社の公式サイトで、税込価格が文章で明示されているものだけを掲載しています。 「解約の権利が付く線」は、特定商取引法41条1項1号が施行令24条に委ねている 期間と金額のことです。体型を整える施術では1か月を超え、かつ5万円を超える契約だけが 特定継続的役務になり、クーリング・オフと中途解約の対象になります。 公式サイトの表示で判断できなかったものは「判断できず」と出しています。 見つからないことは、線を超えないことを意味しません。

出典